美意識とは異なる美的精神を高めるには?

3回目のイラストレーション講座は、伊丹万作のエッセイ「顔の美について」(http://www.aozora.gr.jp/cards/000231/files/1195_7950.html)を読んで挿絵を描いてもらいました。
印象に残ったシーンや描きやすいシーンを選び、各自持参した使い慣れた画材で描きます。
いつもは全員の作品を講評をまじえて紹介しているのですが、今回は掲載作品を(特に良かった)2点にとどめ、エッセイの内容に絵のことをからめつつ、感じたことを書いてみたいと思います。

 

zekiko
illustration:ZEKIKO

 


もし世の中に美容術というものがあるとすれば、それは精神的教養以外にはないであろう。顔面に宿る教養の美くらい不可思議なものはない。精神的教養は形のないものである。したがつて目に見える道理がない。しかしそれが顔に宿つた瞬間にそれは一つの造形的な美として吾人の心に触れてくるのである。
(「顔の美について」より)


これ、こんなふうに↓言い換えてみました。


もし世の中に絵画術というものがあるとすれば、それは美的精神以外にはないであろう。絵画に宿る精神の美くらい不思議なものはない。
美的精神は形のないものである。したがつて目に見える道理がない。しかしそれが絵に宿つた瞬間にそれは一つの造形的な美として吾人の心に触れてくるのである。


美的精神とは何か。僕が思うに、無邪気さ、素直さ、誠実さ、楽しい、気持ちいい、と感じる心。
極端なはなし、絵に精神の美が宿っていなくても、形を整える術に長けていれば、イラストレーションとして機能させることはできるでしょう。イラストレーションになりうる絵とはどのような絵なのかを知り、そこに照準を合わせて整形術を磨いていく。これはこれでひとつのやり方ですが、ほかに、美的精神を注ぎまくって絵画術を磨き、まずはその造形美を見る人に感じさせ、且つそれをイラストレーションとして機能させるための応用術を身につけるというやり方もあるかと思います。当教室では、後者をやっていきたいですね。

上手くても下手でも繊細でも大胆でも、何でも良いので、「この人だからこそこの絵になった」ということでないと。
今回の挿絵講座では、どちらかというと整形術のほうに意識が寄り、いつもの自由さは若干陰をひそめた感がありましたので、
これからは受講生一人一人に宿る美的精神をひたすら肥やしていこう!と決意を新たにしました。

 

maru
illustration:MARU

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ABOUTこの記事をかいた人

1965年生まれ。セツ・モードセミナー卒業。1990年より創作活動を開始。 人間の顔をメインモチーフに、様々な表現法を駆使して作品を量産。2003年、バーチャルタレント集団 「キムスネイク」を生み出し、個性的なキャラクターのアニメーションを、テレビ番組やCM、WEB等で発表。 主な仕事:「ベストハウス123」「マツコの知らない世界」「GLAY」「VAMPS」など。 主な受賞:第7回イラストレーション誌「ザ・チョイス」大賞受賞、アヌシー国際アニメーションフェスティバル(2010)など多数。 絵の講師歴25年。 神戸芸術工科大学非常勤講師