コラージュの醍醐味

こんにちは。木村タカヒロです。
約30年間にわたりコラージュを制作してきた私が、コラージュの醍醐味について解説します。

私はもともと絵具で顔の絵を描いていましたが、次第に予定調和となり、どれも似たような顔になってきたので、なにか突拍子もない顔はできないものかと、コラージュに着手しました。

はじめてみると、絵具で描いていたときには想像もつかない顔がどんどん生まれました。また、それまで苦手だった体も、コラージュによって創作できるようになりました。

コラージュの魅力は、なんといっても即興による偶然性です。

頭の中を空っぽにして無作為に素材を選び、適当に並べ、それらをじっと眺めて素材どうしを組み合わせ、位置を微妙にずらしながら、自分にとってしっくりいくポイントを探っていきます。

そうすると「うん、この位置がベスト!」という瞬間が訪れます。偶然が必然に変わる瞬間です。美意識が発動した瞬間です。

制作の際、頭のなかには設計図や完成予想図がないので、最終的に何が生まれるのか、やってみないとわかりません。出たとこ勝負です。

たとえば、女性の顔のつもりで制作していたのに、いつのまにか男性に変わることもしょっちゅうです。

コラージュをやっていると、制作の途中から、絵が勝手に動きだすような感覚を味わうことがあります。それはまるで、絵が意思をもち、自ら成長しようと行動を起こしているようにも見えます。

そうやって、意識と無意識、偶然と必然、制作をしている当事者であり絵の成長を見守る傍観者という、行ったり来たりを無邪気に楽しむのが、コラージュ制作の醍醐味です。

ワークショップを開催しますので、ぜひ体験してみてください!




ABOUTこの記事をかいた人

1965年生まれ。セツ・モードセミナー卒業。1990年より創作活動を開始。 人間の顔をメインモチーフに、様々な表現法を駆使して作品を量産。2003年、バーチャルタレント集団 「キムスネイク」を生み出し、個性的なキャラクターのアニメーションを、テレビ番組やCM、WEB等で発表。 主な仕事:「ベストハウス123」「マツコの知らない世界」「GLAY」「VAMPS」など。 主な受賞:第7回イラストレーション誌「ザ・チョイス」大賞受賞、アヌシー国際アニメーションフェスティバル(2010)など多数。 絵の講師歴25年。 神戸芸術工科大学非常勤講師