迷ってばかりがデフォルト|創作に悩むのは当たり前?


こんにちは、木村タカヒロです。

絵を描いていると、色や形を決めるときに迷ったり悩んだりすることってよくありますよね。何年も絵を描いてきた人でも、未だにその迷いや悩みに直面します。そして、「早く迷わずに楽しく描けるようになりたい」と考えるのは自然なこと。多くの人が、描き続けるうちに迷いや悩みが減ると期待しているのではないでしょうか?

「画力が上がれば、迷わずにスムーズに描けるようになるはず」「自分のスタイルが確立されれば、もっと楽になるはず」——そう思いたくなる気持ち、よくわかります。

でも実際には、「迷ってばかり」がデフォルト。創作では、迷うこと自体が標準なんじゃないか?と考えています。

迷いがなくなる? そんなことはない!

例えば、オリジナルキャラクターを作るとき、最初は顔の形や体のバランスで悩みますが、一度キャラクターが完成すれば、その後は表情を変えるだけで展開しやすくなります。こうしたタイプの創作では、一度できあがると悩みが少なくなるかもしれません。

でも、抽象画や、毎回違うテーマやモチーフを描くスタイルでは、そうはいきません。
毎回新しい迷いが出てくるし、前回上手くいったとしても、次に描くときには同じ感覚を再現できないことも。「どうして今回はうまくいかないんだろう?」と悩むのは、創作の本質そのものなのです。

迷い=創作の産みの苦しみ

迷いや悩みは、作品を生み出す過程で避けられない「産みの苦しみ」。「迷わず描けるようになりたい」ではなく、「迷いながら描くのが普通」と思えたら、気持ちが楽になるかもしれませんね。

自転車で山の頂上を目指すとき、素晴らしい景色を見るには坂道を登るしかありません。
絵を描くのも同じで、迷いや悩みという坂道を通らなければ、素晴らしい作品にはたどり着けないんです。

「また迷った…」と感じたら、それは頂上が近いサインかもしれない!
迷いをポジティブに捉えることで、創作の過程そのものを楽しめるようになりますよ。

迷いを楽しむ工夫

とはいえ、坂道を登る過程を少しでも楽しくする工夫はできますよね。

  • 遊び心を持つ → 「迷うのもアートの一部!」と考える
  • 深呼吸してリラックス → 焦らず気持ちを整える
  • 気分転換を挟む → 一度離れてから見ると、新たな発見がある

創作において、迷いは成長の証。むしろ「迷わなくなったら、それは進化が止まったサインかも?」くらいの気持ちでいれば、もっと自由に描けるかもしれませんね。

創作は一生続く冒険!

毎回、新しい山を登るように、どんな作品が生まれるか分からない。それこそが創作の醍醐味。
だからこそ、どんなに経験を積んでも、新たな挑戦が待っているのです。

こりゃ、やめらんわ〜。




ABOUTこの記事をかいた人

1965年生まれ。セツ・モードセミナー卒業。1990年より創作活動を開始。 人間の顔をメインモチーフに、様々な表現法を駆使して作品を量産。2003年、バーチャルタレント集団 「キムスネイク」を生み出し、個性的なキャラクターのアニメーションを、テレビ番組やCM、WEB等で発表。 主な仕事:「ベストハウス123」「マツコの知らない世界」「GLAY」「VAMPS」など。 主な受賞:第7回イラストレーション誌「ザ・チョイス」大賞受賞、アヌシー国際アニメーションフェスティバル(2010)など多数。 絵の講師歴25年。 神戸芸術工科大学非常勤講師