琴線を揺さぶる自由に対する熱狂的な信仰

イラストレーション第4講目は、渋谷で開催中のデュフィ展にあやかり、絵具でザッザッと色を塗り、シャッシャと線を引くかんじの(つまりはデュフィみたいな)風景画を意識しつつ描いてもらいました。
3軒のお店が並んだモノクロ写真を見ながら、下描きせずに、アクリル絵具を使って描きます。自由な色使いが出来るよう、カラーの資料写真を敢えてモノクロに変換しました。

mihon

いつも言ってることですが、こういった資料を参考に描く際には、写真そっくりになぞるのではなく、この写真のなかから絵を起こすためのキッカケとなる形を拾っていく感覚で制作することが肝要で、建物のパーツを○△□の図形の組み合せで捉えて、目に入った形を、素直に、自由に紙に再現していくようにします。もちろん、定規など使いません。曲がっていようが、歪んでいようが、線が生き、形が踊り、色が輝いていればそれで言うことナシです。

なんてなことをいちいち説明しなくても、受講生のみなさんはすっかり「自由」モードへの切り替えスイッチを習得したようで、皆そのような仕上がりになりました。

人の心をとらえる「素敵な絵」を描くには、本物そっくりに描くテクニックがなくとも、ひたすら素直に、自由な気持ちで描くことが出来ればそれで充分だと思います。というか、大人の私たちにとって実はそれが難しいことなのですが。素直&自由スイッチを潔くパチンッとONにできるかどうか。これも絵を描くテクニックの一つといえるかもしれませんね。
では作品をご覧ください。今回は解説ナシ。ぜんぶスバラシイ!

Maithing-geel作品
mai

Nori-Bee作品
noribee

ゼキコ作品
zeki

MARU作品
maru

さて。
前回のブログ記事で、教室運営のパートナーである穂積政浩さんが、音楽家・ニレジハージを紹介してくださいました。

僕が穂積さんと知り合ったのは昨年(2013年)の夏、不思議なご縁がきっかけでした。教室を開くために色々と話をするなかで、多くの共通する価値観を見出し、影響を受けた人などについて情報交換をしていました。そんななかでニレジハージの話を聞き、貴重な音源や映像を貸していただきました。
来日したニレジハージがNHKの特集番組に出演したときのインタビュー映像はとても印象深いものでした。

インタビューのなかで、ニレジハージは何度も「フリーダム」という言葉を口にし、偉大な作曲家フランツ・リストとの共通点を聞かれ、「自由に対する熱狂的な信仰である」と答えていました。

自由に対する熱狂的な信仰ーー僕にとって強烈なメッセージでした。

そしてインタビューの最後に「最善は尽くしてきたが満足はしていない」と語ったニレジハージ。
これこそ創作行為の根幹だと思いました。

天才の存在は、それを見出して伝える人がいないと、多くの人に知られぬまま時が過ぎてしまいます(自己宣伝する天才はあまりいませんからね)。大学生の頃に、専門家でも評価の分かれるニレジハージの天才性を見抜き、確信した穂積さんの感性に対し、僕は絶対的な信頼を置いており、また、穂積さんに教室の方針について賛同いただいてることを心強く思っています。

僕に天才性を見出す能力がどこまであるかはわかりませんが、少なくとも、自分が良いと感じたものを、世間の評価と関係なく「凄い」「好きだ」と言い続けていきたいと思っています。
受講生作品のなかにも天才の片鱗がちらほらと出現してきましたので、これからが楽しみです。

ところで。
僕がいままで観た映画のなかで一番好きな作品は、スティーブ・マクィーン主演の「パピヨン」なのですが、これがまさに「自由に対する熱狂的な信仰」の映画でした。

自分の琴線を揺さぶるものに通底しているのは、この「自由に対する熱狂的な信仰」なのではないかと思う今日この頃です。

 


快画ワークショップ開催予定

■大阪クラス 12月8日(金)19:00〜21:30
http://flyingdragon.me/oosaka20171208




ABOUTこの記事をかいた人

1965年生まれ。セツ・モードセミナー卒業。1990年より創作活動を開始。 人間の顔をメインモチーフに、様々な表現法を駆使して作品を量産。2003年、バーチャルタレント集団 「キムスネイク」を生み出し、個性的なキャラクターのアニメーションを、テレビ番組やCM、WEB等で発表。
主な仕事:「ベストハウス123」「マツコの知らない世界」「GLAY」「VAMPS」など。
主な受賞:第7回イラストレーション誌「ザ・チョイス」大賞受賞、アヌシー国際アニメーションフェスティバル(2010)など多数。
絵の講師歴25年。
神戸芸術工科大学非常勤講師