ギターを弾く男

こんにちは。木村タカヒロです。東京では桜が咲きました。

イラストレーション講座の2回目は、「ギターを弾く男」と題し、雑誌の文章に添えるイラストレーションを想定して絵具で制作していただきました。

資料写真はこれ。

guitar
いつものように、縛りがあります。

●アクリル絵具を使用
●色数は5色
●下書きナシ(いきなり絵具で描く)
●絵は切り抜き使用(白バックで)
●制限時間1時間。
デフォルメOK。自由に発想を膨らませてください。
ちなみに当教室では、入学時に画材を買い揃える必要はなく、すべて教室に用意してある道具を使って制作してもらっています。
また、制作の内容については、当日受講生に伝えるので、準備や予習も要りません。

絵の技術面の上達法はひたすら描くことだと考えているので、その描きまくり作業は各自家でやってもらうとして、教室では、感性を刺激したり、直感力を養ったり、発想の転換、イメージの拡張、得意技(または苦手技)の発見、などを目的とし、なるべく単調で予定調和にならないような内容を心がけています。出会いがしら的なスパークを期待しつつ、ね。

maiting-geel作品
maicing
眩しい!神々しい!いつもながらmaiting-geelさんの跳躍力には驚かされます。制作の際にいつも「何か面白いことやってやろう」という意気込みが伝わってきます。「ギターを弾く男」で依頼した編集者はこの絵の掲載を見合わせる可能性もありますが、きっとその編集者の心は洗われるでしょうし、仏心が目覚めるトリガーとなるかもしれません。それで充分!

saoru作品
saoru
色味が爽やか〜。色数を3色に限定するという自己縛りを設けて挑んだそうです。ナイスな試みです。和テイストな顔だちもいいですねえ。昭和のスター歌手のようです。

Nori Bee作品
一枚目
noribee1
フォーク歌手をイメージしたそうです。はじめてのアクリル絵具で苦戦したそうですが、いい絵だと思いますよ。神田川っぽさ(古い)でてるし。絵具は描いてれば慣れてくるのでぜんぜん問題ないです。
二枚目
noribee2
立ち上がった!ロック歌手をイメージしたそうです。

MARU作品
一枚目
maru1
筆勢のあるストロークがイイですね。楽しげでエネルギッシュ。
二枚目
maru2
パワフル技法から作戦変更。フラットタイプで勝負しました。こちらもウマイ!MARUさんは既に十分なテクニックと表現力を持っていますが、それに溺れることなく、自由な気持ちで「楽しんで描く」ことを実践しているところが良いです。テクニックを身につけることは大事ですが、「グッとくる絵」というのは、そのテクニックから解放されることによって生まれるものと思います。

ゼキコ作品
一枚目
zekiko1
この表情!好きだなあ。人物のフォルムもスタイリッシュでイイですね。
二枚目
zekiko2
得意のキャラ風味に引き寄せました。ここは押さえておかないと、ですね。

Sクン作品
sawa1
またまたヤッてくれました〜。もはや「なんでも来い」状態ですね。なんだってオレ流に料理してやる。それは自分で食すのではなく、相手に振るまうための料理。Sクンの絵からは、人に見せる(魅せる)ことを前提に描く姿勢が伝わってきます。これは表現者にとって大切な資質だと思います。

Mちゃん作品
momo
人物のデフォルメが面白いね。ネコを加えたのもグー。オーダーに対し、相手が望む以上のことを模索し、提案していくのは良いことです。お・も・て・な・し、の精神ですね(ちょと違うか)。

 
絵の勉強は、矛盾を是とし、相反する様々なアプローチで修練を重ねていくことが大事だと思います。
「何も考えないで描く」「深く考えながら描く」の繰り返しによってジワジワと方向性が見えてきます。

また、受動と能動の交代を頻繁におこなうことによって生まれるものもあります。
たとえば今回だったら、描くテーマや道具や時間については受け身ですが、そこからアイデアを膨らませ、自分なりの要素を加えていくことは能動的な作業です。

一方がどちらかに追従するのではなく、または両方が同時に歩みよるのでもなく、受動と能動の役割を交代で繰り返しているうちに「調和」が生まれ、その調和状態のなかから、思ってもみない突発的なひらめきが起こるものだと思っています。

受講生の皆さんは、与えられたテーマに対して「工夫を凝らす」ことを常に意識しながら取り組み、打ち返してくれていて、これは僕がいちばん重きを置いていることなので、嬉しいし、やり甲斐があります。次回も楽しみです。

 


collage

ABOUTこの記事をかいた人

1965年生まれ。セツ・モードセミナー卒業。1990年より創作活動を開始。 人間の顔をメインモチーフに、様々な表現法を駆使して作品を量産。2003年、バーチャルタレント集団 「キムスネイク」を生み出し、個性的なキャラクターのアニメーションを、テレビ番組やCM、WEB等で発表。 主な仕事:「ベストハウス123」「マツコの知らない世界」「GLAY」「VAMPS」など。 主な受賞:第7回イラストレーション誌「ザ・チョイス」大賞受賞、アヌシー国際アニメーションフェスティバル(2010)など多数。 絵の講師歴25年。 神戸芸術工科大学非常勤講師